この時代に剣客が現れて剣道部に入ってしまったよ。
「兄さん!今日の部活最高だったよ!!」
遙は忠明に夕食時、部活の内容を話して聞かせた。
忠明は腹を抱えて笑った。
又四郎は黙って飯を口に運んでいる。
テニス部を後にして、カナになだめられ、遙に慰められ、又四郎はふてくされ、帰宅してきた。
剣道部員は又四郎に叩きのめされた事で無口に粛々と下校した。
全員、今日の事は黙っておくように箝口令を出した近藤。
レギュラー男子部員全員が倒され、全国大会出場常連校のプライドもズタズタに。
おまけに一年生である又四郎に気絶までさせられ、男としてのプライドも無くなってしまった。
近藤、土方、永倉、斉藤の三年レギュラー陣は必ず又四郎を叩きのめすと誓った。
「あんなままごとのような剣。ちゃんちゃら可笑しいわ。あんな太刀筋では、人どころか、豆腐も切れぬ。」
「ばか野郎!人は切っちゃ駄目に決まってんだろう!」
忠明のカミナリが落ちる。
「しかし、テニス部のお前の活躍は見てみたかったな。何でラケットじゃ駄目で、木刀ならテニスが出来たんだかな?」
笑いをこらえて忠明は言う。
「・・・。力の加減が、木刀ならキチンと出来るからな・・・。」
忠明も遙も吹き出す。
「そんなに笑わんでも良いであろう!二人とも!!」
又四郎達の夜は更ける。
翌日は、カナと遙の誕生日プレゼントを買いに行く事になっている又四郎。
又四郎は銭をくれと、言い出せないまま、風呂に入り、眠った。