この時代に剣客が現れて剣道部に入ってしまったよ。
「師範!思いの外簡単でしたね。」
「準備が周到だったからだろう。」
「アイツ、死んで無いですよね。」
「わからん・・・。念のために靴は燃やしてしまおう。」
「エアガンの弾も残ってますから。」
「誰から借りたんだ、その違法エアガンは。」
「はい。一年のアイツのクラスに居る澤部ってやつです。」
「澤部って、ヤクザの子供だよな?確かこの前肩を砕かれて入院してる・・・。」
「ええ。入院してるのは兄貴らしいです。」
「たまたま下見に来たら行き合いまして、協力してやるって。」
「ふ〜ん・・・。まあ、いいや。」
「ああ、スカッとしたな!ざまぁ見ろ。」
「そうですね。最高の気分ですよ。マジで!」
五人はそれぞれ言いたい事を言って、神社の帰り道を急いだ。
復讐をあっさりと成し遂げ、浮き足立つ五人。
名誉は守られた。
最悪のやり方で。
「ああ・・・。疲れたぁ・・・。」
カナは部活から帰っている途中だった。
その途中、神社の階段の前に、倒れている人影を見つけた。
「あれ?誰か倒れている!?ち、ちょっと、大丈夫ですか!?」
カナは倒れている人に近付く。
「えっ!う、うそ!又四郎君!?又四郎君!しっかりして!!」
又四郎を抱き抱えるカナ。
「い、意識が無い!ヤバい!ヤバいよぉ〜!!」
状況を把握できず、取り乱すカナ。
「ひとまず、電話を掛けないと・・・。き、救急車って、何番だっけ・・・。あれ、あれ・・・。電話どこだっけ・・・。」
非常に動揺し、まともに思考が回らない・・・。
「だ、誰か助けて下さい・・・。誰か!誰か助けて!!」
カナは一心不乱に叫ぶ。
力の限り叫んだ。
「どうした?」
長身の色白で、パーカーを着た男がカナの後ろに立っていた。
ゾッとするほどのイケメンだった。
「あ、あの友達が意識無くなってて、それで、あの・・・。」
「OK分かった。すぐに救急呼ぶから。」
テキパキと電話を掛けて又四郎を横向けに寝かせ、気道を確保する。
手馴れた手つきで、鼻血で息が出来なくならないようにする。
「ありゃ、腕の骨やられてるな・・・。背中の臓器もやられているかも知れないな・・・。」
「あ、あの又四郎君は、だ、大丈夫でしょうか・・・。」
ボロボロ涙を流しながらカナは長身の男に聞く。
「ヤバイ、かもね・・・。内臓いってなきゃ良いけど・・・。」
涙と共に崩れ落ちるカナ。
救急車が到着する。
救急隊員が又四郎を救急車に乗せる。
長身の男は、救急隊員と話をしている。
「あ、沖田総合病院に搬送してくれる?おれ?あ、息子。うん。一緒に行くよ。お〜い!
ほら、君も早く乗って。」
長身の男と、カナは救急車に乗り込んで一緒に病院へ行く。
又四郎の意識は依然戻らない。
様々な思惑が入り交じる夜は静かに更ける。
第1章・死んだと思ったら、未来に来てしまったよ編。完