死神の花嫁



「先程、奪った魂と寿命の長さは
必然的に貴様の寿命に繰り越された。
その寿命の長さも
我と、契約を結べばの話だか。」


ヴォルドは黙り、震えるシャロンを
見下すように鼻で笑った。



「私は…得体も知れない方と
その様な契約を結びかねます。」



絞り出した声は余りにも小さい。
だが、シャロンは
ヴォルドを一心に見つめた。



「怖いもの知らずとは貴様の事だ。」



静かに言ったヴォルド。



「良いだろう、見るが良い。」



その瞬間、バサリという音と共に
ヴォルドの背に生えた翼。


その髪と同じ、漆黒に染まった
片翼2メートルはあろうかという大きな翼に
シャロンは大きく開いた目を
閉ざす事が出来なくなった。


にやりと笑ったその口に
キラリと光る牙が覗く。




「い、いやぁぁああああ!!!!」



目を閉じ、耳を塞いだシャロンの叫び声が
森一体に響き渡る。




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