シークレットガール!【完】
「なーに妄想してんのー。顔ユルユルー」
む。不覚。顔に出してしまっていたのか。
「……妄想なんてしてないし」
してたけど。ここは意地だ意地。
夏はあと1ヶ月とちょっと。
まだまだあると考える人が多いけれども、あたしにもったら、もう時間がない。
だって、このまま時間が過ぎていけば、もう秋だ。
別れる秋。諦める秋。志貴先輩たちと会えなくなる秋。
「冬っていつからだと思う?」
「まだ夏真っ盛りだと思うけど」
「……答えてよ」
「……11月終わりって感じ?」
11月の終わり、ね。
そっか。じゃあ、お別れは5か月後か。
それまでに志貴先輩はあたしのこと好きになってくれるかなぁ。
……自信ないや。
「はーるんるんるんるんるんるんるんるるるんるんるるるんっ♪」
「人のあだ名で歌作らないでよー」
「縁担ぎ」
「意味不明ー」
意味不明でいいし。
「……暑くなってきたね」
「話ぶっ飛びすぎなんだけど」
「いいじゃん、それくらい」
空を見上げると、たくさんの星が輝いている。
あ、夏の大三角発見。
「はるるーん、仲直りできそう?」
「……まぁあんだけ言われたら、ねぇ」
何がねぇだし。
意味不明。
「……仲直りしなかったら、殴り込みするし」
「それは困っちゃう双葉が」
……………涙出てきそうなんですけど。
そうかい。あたしはそんなに双葉ちゃんに嫌われてんのかよ。
うぅっ…目から富士山のミネラルウォーターがっ…………。