シークレットガール!【完】


駅に志貴先輩が来たところで登校開始。


3人で行くようになってから、あたしの日課である志貴先輩を起こしに行く作業がなくなった。


確かに面倒だったけど。


なくなれば、なんかすっぽりその時間が空いて、暇だ。


「何で3人で行くの?」


いつもコレを聞いても、二人ははぐらかすだけ。


「なんとなく?」


「晴と同じ」


ほら。今日もまたはぐらさかれた。


若干、この質問が日課となりかけているのは気のせいでありたい。


「暑いねー」


だねぇ。


すんごく暑い。


季節はもう夏。7月だ。


テストも終わって、残すはスポーツ大会と夏休みのみである。


スポーツ大会というのは、テニスやバスケ、ソフトボール………と種目を分け、クラス単位で競う学校内のスポーツ大会である。


スポーツ大会なのに、オセロやウノといった室内競技もあり、なんでもありだ。


残念ながら、あたしはスポーツ大会の日は欠席である。


うん、美沙ちゃん事情ってやつだよ。


「夏祭り!どうしますか!」


これを聞かなくてどうする。


これが美沙ちゃんの最後のアピールビックイベントなのに!


「俺行こっかなー」


「はるるんに聞いてないしー」


「…俺は晴がいかねぇなら行かない」


「………」


ずっと晴が行かないから行かないの一点張りだ。


あたしと二人で行きたくないのかよ。


悲しー。しくしくしく。


と一人で会話していると、熱い視線があたしに突き刺さっていることに気付く。


その視線を辿るとはるるん。


何その目。子犬のような可愛い目。


あたしは犬は嫌いだ。


ぷいっとそっぽを向いたが、まだ視線は突き刺さったまま。


恐る恐る見ると、はるるんが捨てられた子犬みたいな悲しげな目で見てて。


少し居たたまれなかったあたしは、雄叫びを上げる。


「あーーっもう!わかったから!3人で行こうっ」


「よし」


「良かったな晴」


「おう」


「なっ………」


コイツら騙しかのか。仕組んだのか。


「………やられた」


最近、二人でタッグを組み、あたしを崩しかけてくるのがお流行りである。


その流行り、さっさと時の流れに流されてしまえ、と思っているのはいつものことだ。




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