シークレットガール!【完】
「…ねぇ君」
肩に手を触れられ、振り向くと。
「…………えっ、と先輩ですよね?」
少しこの学校ではチャラめな男が一人おりました。
少しニヤリニヤリとお口が緩めな目の前の男は、駅前で話しかけてくる男の表情にそっくり。
優季にそういう人たちをなんというか教えてもらった。
たしか、……ナンパだった気がする。
「2年の鬼瀬だ」
なんて、チャーミングな名前なんでしょうか。
お顔とのマッチ度が半端ねぇよ。
「…あの、鬼瀬先輩。志貴先輩たちは帰ったのでしょうか?」
面倒だ。さっさとずらかりたい。
こんな面倒になることになるんだったら、優季と帰っときゃよかった。
ざわざわ、と回りのギャラリーの声が大きくなる。
もしかして、この先輩。有名パターン?面倒パータン?ピーターパン?
聞き耳たてて、回りの声を拾ってみる。
─「鬼瀬だよ。あの子ちょっと危険じゃない?」
─「あの子、倉條美沙だよ!鬼瀬に捕まるなんて……ついてないよ」
…うん。とにかく、ヤバイヤツなんだね。うん。
そして、御姉様方。なんで、あたしの名前を知っているんだい?
マナミ先輩に引き続き、御姉様方は何故かあたしの名前を知っている。
もしかして、ストーカー?ストーキング?ストッキング!!
よし、このことについて考えるのはやめよう。