シークレットガール!【完】
「志貴先輩がどこにいるかって聞いてたな」
「あ、はい」
そーですけど。なんか、この男、態度でけぇなオイ。
「槻倉は、帰ったからよ。俺と遊ぼうぜ?」
「あ、ノーセンキューベリーマッチングです。では」
来た道をUターン。回れ右!
しかし、またも彼の手に肩を捕まれ、足が先に動かない。
「先輩の誘いだろ?後輩は受けるのが義務だろ?」
なんつー理屈。てゆーか、どこが義務なのか教えてほしい。
優季に教えてもらった対処法を思い出す。
えっと、なんだっけ……。
たしか、睨みながら、一言。
「邪魔なんですけど」
よし、決まったーーー!!!
大抵の人はこれで、怖じけづいて、ぱぱばーって、とんずらするんだよね。
しかし、この男はひと味違った。
「優しくするからよ、このヤろうぜ?」
腕をぐいっと引かれ、背が壁につく。
ちまたで有名な壁ドンの出来あがりだ。
邪魔と言ったら、とんちんかんな答えに壁ドン。
美沙ちゃん怒りパラメーターは急上昇。
ギャラリーは騒ぐ騒ぐ。
なんで、助けてくんないの。
この目の前の男よりギャラリーに嫌気が差してきた。
「ほんとに邪魔」
もう敬語はなし。
敬えない人を敬う必要はない。
目の前の男は少しこれで痺れを切らしたようで、目を血走り始めた。
これはヤバイパターン?