シークレットガール!【完】
美沙とあたしを呼ぶ人は少ない。
お母さん、お父さん、あと優季。
けれど、この声はこの3人の声?
ううん、違う。この声は、……。
「志貴先輩……?」
「ちょちょちょちょちょちょー!!!!!志貴ーーーーーっっ!!!」
とアホみたいに叫ぶはるるんの声。
残念イケメン。その言葉は彼のためにあるのだろう。
「ちょっと、カットォォ!!!」
その中叫ぶ謎の人。彼はAと名付けよう。
「え、っと……………」
あまり、状況が飲み込めない。
「いてててて……」
目の前に倒れた鬼瀬先輩が痛そうに体を起こす。
え。何。これなんですか。
説明プリーズ。
あたしがポーズしている間に、いつの間にか叫んだ方々が目の前に集まってくれた。
左から、志貴先輩、はるるん、謎の人A、鬼瀬先輩。
「えっと、ごめんね」
突然謝ってきたのは、謎の人A。
「こっちも、悪かったな」
ついでに謝ってきたのは、鬼瀬先輩。
先程と随分と態度が違うのは気のせいなのだろうか。
「「………………………」」
志貴先輩とはるるんは何も言わなかった。
「えっと、…僕と鬼瀬は、3年2組なんだ」
謎の人Aは、どうでもいいことを教えてくれた。
「それで、なんでしょうか?」
「…僕たちの出し物はその、『映画鑑賞』で。自分達で作った動画を20分くらい見てもらうんだけど」
「………………」
「ちょうど、倉條さんが撮影中に2年校舎に入ってきちゃって、……けっこー進んでたから、そこでカットすると鬼瀬の演技が無駄になるから……、そのまま継続して」
「……………」
「ほんとは、正義のヒーロー的な人が来て、倉條さんを助けて、これ出し物の撮影ですって言って、そのテープを文化祭に再生していいか聞こうとしたんだけど、……」
「………………」
「倉條さん、意外と喧嘩が強いんだね。鬼瀬、投げ飛ばして、もう正義のヒーローの出番なくしちゃった」
「……………………」
ごめんなさぁああああああああいぃぃぃ!!!!!!