シークレットガール!【完】
投げ飛ばした……ゴリラ?、と呟くように言ったはるるんを横目で睨んでおいて。
「ほんとっ、すいませんでしたっ!」
たしかに、2年校舎に入ったとき、ざわりとざわめいた。
あそこで気づくべきでした…っ。
「いや、いいよ。他学年は入らないって思って、校舎入り口の前に『撮影中』って紙貼らなかったこっちが悪いんだし」
なんていい人なの…っ、謎の人A!!
そう思ったのを、取り消したくなったのは、そののち5分後。
最初がいい人なんて、決して本当にいい人とは限らない。
そう思わせたのは、このあたしの一言が始まり。
「あたしっ、手伝います!!!」
やってしまったなら、体で返せ。
ここで、卑猥に聞こえたあなたは、はるるん型。
変態街道まっしぐら。
「…いいの?倉條さん」
謎の人Aは、嬉しそうに顔を綻ばす。
「もちろんです。撮影を邪魔したのも悪かったですし、鬼瀬先輩は、あたしが投げ飛ばしてしまったので、腰が悪いと思います。そのお詫びですから」
後ろのギャラリー役であろう方々は、何故かハイタッチ。
高嶺の花ちゃんが出演したら、こりゃ一番も夢じゃねぇぜ、だとか。
謎の言葉つきである。
「ちょいと、待とうか美沙ちゃん」
ここで止めてきたのは、ゴリラと言ったはるるん。
「何?」
「何で手伝うの。俺らと一緒に帰るために来たんでしょー?」
「そうだけど、…。ぶっ壊したんだから、直さなきゃいけないじゃん」
ムッと顔を膨れさせるはるるん。
「はい、ダメー。頬っぺた膨らましても、可愛くないからね」
男子高校生のくせになにをやってのさ、ほんと。
美沙お母ちゃんは、もっとアダルティな高校生になってほしいよ。