シークレットガール!【完】
「美沙」
入り口の客の方に向かおうとすると、お腹にスーツを着た腕が回る。
いつもの匂いに、少し安心。
腹に腕を回す彼に顔を向けると、少し不機嫌そうな顔をしていた。
「優季。どしたの?」
「いや、大丈夫か?」
何が。
「問題はないですけど」
「ほら、さっきの男とか。アレで14人目だろ」
ちょいと君‼?何バッチリ数えてんの‼?ストーカーじゃない‼?
自分の仕事真面目にしてないでしょ‼?
仕事をサボる仕事をサボる仕事をサボる仕事をサボる。
この罪は重し。
「優季、君は今日限りでクビだ」
「公衆の前で馬鹿なことを言うな。この学校の評判が下がる」
「は‼?」
あたしトップなんですけど!むしろ上げてる方の人なんですけど!!
「…理不尽だ」
「お前が賢いってことがな」
「…………サイテー」
ぷぅ、と両頬を膨らます。
すると優季は回りを一度見渡して、もっと不機嫌になり、手であたしの頬を潰す。
お陰であたしは、ブッと汚い声が口から出る。
「ほんとっサイテーだな!優季クン!」
不機嫌!八つ当たり!とばっちりだ!
美沙ちゃんマジでオコですよ!!
彼の腕を振りほどこうとすると、彼の腕の力は強くなり、背中と彼の胸がくっつく。
優季の吐息が耳にかかって、少しくすぐったい。
「……………ムカつく」