シークレットガール!【完】
五番テーブルにパンケーキを運んで、客を案内して、注文を聞いて。
難なく、それらをこなしていると、メイド服の裾が引っ張られて、振り向いた。
そこには、調理班の子がオムライス2つ持って、器用にケチャップも持っていた。
「これ、槻倉先輩と朝霧先輩のところの注文だよ。倉條さん、持ってって」
「うん。ありがとう」
それを受け取って。
ムフフムフフと効果音が出そうなご機嫌で、彼らの待つ席に向かう。
志貴先輩はボケーとしてて、はるるんはスマホをいじっている。
「お待たせ致しました」
音をなるべく立てないように、皿を置く。
「萌え萌えオムライスでございます」
とオムライスの商品名を言うと、はるるんが口を手で覆って、声を漏らす。
「……ブッ」
「はるるん、今笑ったよね‼?」
なぜに‼?
「いやー、だってー。美沙ちゃんが萌え萌えとかー。ギャグでしかないじゃーん」
他の人には可愛いよって、言ってもらったんですけど!!
「美的感覚ナッシングよ!はるるん」
「美沙ちゃんに言われたら、ショックで首つっちゃうわー」
どんだけ嫌なの。
こっちがショックで首つりそうだわ。
「もう、はるるん嫌い」
ぷいっと、冗談半分でそっぽを向いた。
まさかのまさか。これが事を思わぬ展開に持っていく。
「え……………」
始まりの言葉ははるるんの驚いた声。