シークレットガール!【完】
言葉じゃなくて、行動に移せ。
これは、あたしのモットーであり、ポリシーである。
あたしは、それを実行するために、彼の腕を引いた。
「…お前、何する気だ。変態か」
「…志貴先輩には、変態と言われたくないです」
あたしの手がはるるんの腕に触れかける10センチ前。
あたしは、違う人の腕を触れた。
「…手、放せ」
志貴先輩の方からタッチしにきたじゃん。
理不尽だしコンチキショー。
「てゆーか、何で急に手出したんですか」
「……気分」
なんていう気分なんだ。
腕を出したくなる気分?こりゃたまげた。
こんな気分になる男子高校生は志貴先輩しかいないだろう。
「志ーー貴」
いつも通りなはるるんが彼を呼ぶ。
あれ?さっきまでの演技だったの?
と言いたいほど、酷くいつも通りである。
「…んだよ」
志貴先輩は何もしていないはるるんに向かって、不機嫌な視線を向けた。
一発即発。そんな空気である。
彼らの空気はピリピリピリピリ。
二人はこのまま殴り始めないか。
あたしの胃は心配でキリキリキリキリ。
このままでは、あたしの胃がっ…胃が死んでしまうじゃないか。
なんとしてでも、この空気を温厚にしなくては。
「…萌え萌えオムライスが冷めてしまいますよー?ほら、萌え萌えマジックで仲直り♡♡」
「……………………………」
「……………………………………」
この場の空気が冷えたような、そんな気がした。