シークレットガール!【完】
ナイスな言い訳をした数秒後、あたしはげんこつされて、頭になんとも言えない痛みが響く。
「いったー。殴ることないじゃん」
仕返ししてやんぞ。
橋本優季。あなたに刑を下します。好きなものを選びなさい。
げんこつの刑。しっぺの刑。でこぴんの刑。雑巾絞りの刑。
ん?なんかそんな刑じゃ生温いな。
ラリアットの刑か?
それもなんか優しい。
「ギロチンの刑じゃぁぁああああぁあああぁぁ‼………いでっ」
本日二度目の彼のげんこつ。
痛い。…………
「煩い喚くな殴るぞ。質問に答えろ」
…なにこの人。むっちゃ怖いんですけど。
「…………朝霧晴。志貴先輩と同じ2年の先輩とお茶してた」
そう言うと彼の表情はピシッと固まり、素早い動きであたしの両肩を掴む。
彼の瞳はまっすぐあたしを向いていて。
この流れ的に少し大人の香りがする。
結婚してくれ?うん。ごめん、無理だって。
「妊娠してないよな」
「…………ごめん。ちょっとあたし、優季の考えに着いていけないわ」
うん。結婚してくれなら、脳内シュミレーションしたからオーケーだけど、妊娠は想定外だ。
「いや、だって噂あんだろ?朝霧晴先輩と目を合ったら妊娠するって」
「いや、どう考えてもデマだろ」
んなことが本当なら、すでにはるるんは国に保護されて、たくさんの人と目を会わされているだろうに。
少子化なんて、日本で問題視されてないだろうに。
「何で連絡しなかった?」
肩を掴まれた状態で彼に聞かれる。
「忘れてた」
本当に忘れてた。
いろいろと考えてたし。てへぺろ。