シークレットガール!【完】
「志貴先輩」
あたしが彼の名前を呼ぶと、前に歩いている彼は、足を止め振り返る。
もし今が出会ったばっかの春だったら、絶対無視されていただろう。
そう思うと、結構進歩したなぁ、と染々感じる。
「…………………」
黙るあたしに彼は不機嫌そうにシワを寄せて、サクラのピアスを光に反射させる。
覚悟を決めろ、と言われているよう。
「あのね、志貴先輩」
ぐっと、握る拳に力を込める。
「志貴先輩。あたし、」
握った手には、手汗が滲む。
「志貴先輩。好きです」
終わりにしましょう。
この曖昧な、危うい関係を。