シークレットガール!【完】



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「develop、develop A into B、promote 、replace、……make up with、take after …」


「食事中だ。黙って食え」


「優季、余裕なの!?あたしに勝てるの!?」


「……………」


「わぁああっ、ごめんって、ごめんって!」


優季め、コンチキショー。


あたしの朝ごはんの一番の楽しみのウインナーを取ってきやがった。


「優季どうしてくれんの!ウインナー7こに減っちゃったじゃん!!」


「弁当には、5個詰めたんだからいいだろ」


「よくない!優季の味覚オンチ!何でお弁当のウインナーが2つでいいのか分かんない!」


「俺が普通」


「あっそ、……ふんっ」


ウインナーウインナー。


最近のマイブームはウインナー。


焼いて、胡椒をかけるだけ!


朝忙しい主婦の味方のあのスリムボディー。


体は柔軟で、タコにも、何にでもなっちゃうあの適応性!


あぁ、すべてにおいて完璧だ。


「ウインナーになりたいね。優季は何になりたい?」


「…………………」


「んんん?卵焼きだって?」


「………………」


「優季には無理だよーあの神様には、あれはね、すんごいの。何にでも合っちゃう魅惑のナイスガイだから。砂糖もおっけー、だし醤油もおっけー、単品オッケー。野菜を混ぜるのもおっけー!あぁ、卵焼きサイコーッ!卵焼きって、高嶺の花!」


「………………」


「……優季くん、あたし一人マシンガントークするの結構精神的に来るんだよね」


「それがどうした」


「優季、最近冷たい!もしかしてだけど!あたしが1週間前に、優季のお気に入りのシャーペン分解して、1つパーツ無くしたのを怒ってんの!?」


「犯人はお前か」


ギロリ、殺人鬼のような鋭い眼光がこちらに向く。


ありゃ、違ったのかな?


「ごめんちょんまげー!ご馳走さまでした!トイレ行ってくるね!」


急いで席を立ち、数メートル先のトイレにダッシュ。


「待て、美沙!」


「生理だから待てませーん」



バタバタバタと忙しい朝。


もう冬になって、秋の面影もない。


まだこたつを出してないわが家は、まだ冬の流行に乗れていない。




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