シークレットガール!【完】
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「テスト、終わったぁあああああ!!よし!今夜はおでんだ!」
「…豚汁がよかった」
残念です。今日は絶対おでんです。
「よし!帰り道、おでん具材買おう!……あああ!けど、こたつ買う用意が!」
「おでんは諦めろ。おでんは明日」
「…………はーい。じゃあ、今日はサンマと豚汁とー、おでん風煮込みとー、ほうれん草のおひたしにしよう」
「ん」
それを聞いた優季は満足げに、コートを着始めた。
「美味しそうっ!みーちゃん家のご飯は今日和食だね!」
きゃっきゃきゃっととなりでショートのふわふわとした髪を揺らす女の子。
ほんと可愛い。
このクラスで美人といったら、山川さんだけど。
このクラスで可愛いといったら、この子。
「ありがと、果奈。今夜、あたしん家来てご飯一緒に食べる?」
「ううん、そうしたいんだけど…夜は今回のテストの復習をしたいから、……ごめんね?」
申し訳無さげな表情。上目使い。
「果奈が可愛すぎてどうしよう!」
「みーちゃんの方が可愛いよ?それより、みーちゃん。最近、学校や──
「──栗田さん。美沙、借りていいかな?」
彼女の言葉を遮って割り込んできた優季。
話に口を割ってはいる。
英語で、言うと“cut on in ”。
ちなみに一昨日のコミニケーション英語のテストで出てきた英単語だ。
テスト気分からまだ抜けれない。
テスト後あるあるである。
「優季、準備早いね。ごめんね、果奈。話の続きなんだったの?」
あたしは、知っている。
こう聞けば彼女が、
「ううん。何でもないよ。ストーカーに気を付けて帰ってね」
と返してくれる、と。
けど、
「なぜにストーカー?ここは車でしょ」
「みーちゃんには車にヒヤヒヤするより、ストーカーにヒヤヒヤする方が絶対多いもん!」
「え。ストーカーなんて、された経験ないんだけど」
した経験は、たくさんあるけど。
「えっ、嘘。だって、前、橋本く、「栗田さん」
優季は紳士スマイルをしながら、自分の唇に人差し指を置いた。
これが、彼の惚れ込ましの技である。
そんな彼の動作に、あたしの友達はノックアウト。
「はははは橋本くん!みーちゃん!また明日!」
彼女は風のように、廊下に吹き出ていった。