シークレットガール!【完】
「美沙ちゃん美沙ちゃん。賢いかチェックしてあげるよ」
ん?賢いかチェック?
ここで賢いと判定されたら、いいアピールだよね?
賢いとかもろアピールポイントだよね?
「いいよ、チェックしてみてよ」
「はい、これ」
渡されたのははるるんがやっていたテキスト。
「ちょい待てぃ。2年生の内容なんて分かるわけないじゃん。しかも理系の数学……」
難しいやつでしょ。
ちなみ北府高校は2年から文理選択があって。
ちなみにはるるんはもちろん、志貴先輩も理系である。
…………って話逸れちゃった。
とにかく、1年生のあたしに2年生の問題解かすとか鬼でしょ鬼畜でしょ閻魔様か。悪の大将気取りか?ぁあ"ん?
あたしがガンを飛ばしても、気にする気もない彼。
なかなか頭(かしら)であるに違いない。
「えー。これ、1年生の復習よーん。忘れちゃったから美沙ちゃんに解いてもらおうと思ったのにー」
「なら解くよ」
はるるんがテキストを持っていこうとしたところを阻止して、テキストを奪い取る。
んー。見たことないヤツ…。
ってことはあたしが休んでるときにしたやつなのね。
進学校恐るべし。
むっちゃ難しいじゃんか。
「美沙ちゃーん。分かんないのー?」
にやにやにや。
はるるんが笑みを浮かべて、あたしを見ている。
ふんっ。あたしをバカにすんな。
かりかりかり。かりかりかり。かりかりかり。かりかりかり。
あたしはシャーペンを走らす。
あたしには不可能はないっての。
…………嘘、冗談。
あたし、屋上から飛び降りて、奇跡の生還とか出来ません。
そんなことを思っていると問題はもう終盤を迎えていて、数秒後してからシャーペン、またの名をシャープペンシルを止めた。