シークレットガール!【完】
「ちょこーっと聞いてい?」
はるるんの真剣な声質。甘いその声は、嬉しそうだった。
また腹の探り合いなの?
探っただけ無駄なのに。
あたしは志貴先輩をちらりと見た。
彼は休憩中のようで音楽を聞いていた。
音楽には趣味ないくせに。
あたしがいつも煩いから音楽を聞き始めたんだろうか。
あぁもう。まだまだじゃん。
ほんとに惚れてくれるのだろうか。
そんなん分かんない。
人の気持ちなんて、もっと。
そういえば、はるるん。
あたしははるるんと話していたんだっけ。
はるるんに視線を戻すと彼は綺麗な笑みを浮かべていた。
「ねぇ。なんでこれ分かったの?」
「間違ってんじゃんそれ」
「間違ってるのは最後だけ。しかも間違ったレベルは中学生レベル。だけど、そこまでの高2レベルのは解けているのに」
「え、…こ、うに…………?」
どくり。
心臓を鷲掴みされたような感覚を覚えた。
動揺なんて見せちゃダメ。
情報はどう考えてもあたしの方が上。
昨日の今日ではるるんがあたしの秘密を掴めるはずがない。
「直感」
そう、それしか言いようがない。
「そんなんで分かるー?普通」
分かるわけない。
だって北府高校。しかも2年。
コイツ…。
「いやーん。睨まないでー」
彼はふふふと愉快そうに笑う。
はめられた。
諦めていなかったんだ。
あたしが志貴先輩に近づく理由を。
あたしの秘密。
これは最大の秘密のヒントになる秘密。
少し言っても大丈夫なのだろうか。
「…………………っ、」
この情報だけで、最大の秘密まで辿り着ける?
そんな簡単なものじゃないよ最大の秘密は。
どう考えたって、この情報だけでは辿り着けるわけない。
はるるんが頑張ってもこのヒントだけであたしの秘密が分かるわけない。
「ヒントその1」
「は?」
「だーかーらー、ヒントだってば」
「そんなにアッサリ教えてくれんのー?裏ありそうで怖いんだけどー」
裏がありそうって、失礼な。
「そんなわけないじゃん。美沙ちゃんだよ?美沙ちゃんだぜ?」
「美沙ちゃんだからこそでしょ」
ガーン。
美沙ちゃん、ショックを受けた。