シークレットガール!【完】
タクシーから降りると、暖かい空気から寒い空気へ逆戻り。
思わず、身震いをした。
「……優季、寒い」
「冬だからな」
知ってますけど!
もっとこうさ!フォローとか入れてくれてもよくない‼?
一昨日くらいに読んだ漫画で主人公のマリアが『寒いわね』って言ったら、ヨウくん何してくれたか知ってる‼?
「俺の胸に来な。いつでも温かいぞって。いやー、それくらい言ってくれなきゃね」
「……そんなサムい台詞誰が言うか。キショイ」
「なっ!」
ヨウくんを侮辱すると言うのか!!
「優季。明日、死ぬよ」
「………………」
優季くん。マリアを甘く見てもらっちゃ困る。
マリアちゃんはヤンデレなんだよ。
志貴先輩みたいな可愛いツンツンデレデレじゃないんだよ。
ヤンヤンデレデレなんだよ。
ヨウくんを侮辱したタロウくんを容赦なく殴ったからね、マリア。マリア、強いんだからね。
キングオブマリアなんだからね。
「明日はちゃんと銃弾チョッキ着てきてね。マリアはいつ襲ってくるか分かんないから。ちなみにタロウは夜襲われて、ショウは朝方に殺られたからね」
「マリアって誰だよ。つーか、何の話してんだよ」
「優季が明日死なないための作戦だよ。あ、でも、もしものために言っとくよ。優季の遺産は全てあたしに頂戴ね!!お金持ちバンザイ!!」
「……………………先行く」
彼は早歩きで、マンションのエレベーターに向かった。
一方置いてかれたあたしは。
何で置いてくの。ほんとにマリアは怖いんだからね。恐ろしい子なんだからね。ヤンデレなんだからね。優季の遺産はあたしの物なんだからね。
ぷんすかぷんすか文句を言いながら、彼を追いかけた。