シークレットガール!【完】



タクシーから降りると、暖かい空気から寒い空気へ逆戻り。


思わず、身震いをした。


「……優季、寒い」


「冬だからな」


知ってますけど!


もっとこうさ!フォローとか入れてくれてもよくない‼?


一昨日くらいに読んだ漫画で主人公のマリアが『寒いわね』って言ったら、ヨウくん何してくれたか知ってる‼?




「俺の胸に来な。いつでも温かいぞって。いやー、それくらい言ってくれなきゃね」





「……そんなサムい台詞誰が言うか。キショイ」


「なっ!」


ヨウくんを侮辱すると言うのか!!


「優季。明日、死ぬよ」


「………………」


優季くん。マリアを甘く見てもらっちゃ困る。


マリアちゃんはヤンデレなんだよ。


志貴先輩みたいな可愛いツンツンデレデレじゃないんだよ。


ヤンヤンデレデレなんだよ。


ヨウくんを侮辱したタロウくんを容赦なく殴ったからね、マリア。マリア、強いんだからね。


キングオブマリアなんだからね。


「明日はちゃんと銃弾チョッキ着てきてね。マリアはいつ襲ってくるか分かんないから。ちなみにタロウは夜襲われて、ショウは朝方に殺られたからね」


「マリアって誰だよ。つーか、何の話してんだよ」


「優季が明日死なないための作戦だよ。あ、でも、もしものために言っとくよ。優季の遺産は全てあたしに頂戴ね!!お金持ちバンザイ!!」


「……………………先行く」


彼は早歩きで、マンションのエレベーターに向かった。


一方置いてかれたあたしは。


何で置いてくの。ほんとにマリアは怖いんだからね。恐ろしい子なんだからね。ヤンデレなんだからね。優季の遺産はあたしの物なんだからね。


ぷんすかぷんすか文句を言いながら、彼を追いかけた。







< 373 / 541 >

この作品をシェア

pagetop