シークレットガール!【完】
*****
「さてさて。何をして遊べば、気が済んでくれるんですか」
「んー、一緒にランジェリーショップに行って、ホテルに行くのはどー?」
「うん。却下」
何を言い出すんだこの変態。
「先輩は?」
「……もぐらたたき」
「うん。そろそろ諦めよっか」
何なのこの人達。
「………本屋さんでも行きましょうか」
しかたなくあたしがマトモ案を提示。
「わかった」
「美沙ちゃんのお誘いなら断れないねー」
扱いにくいのか扱いやすいのか、よく分からない。
でも、まぁ。目的地は決まってよかった。
とろとろ歩いてついたのは、駅近くの本屋さん。
美沙ちゃん行き付けの本屋さんである。
「いらっしゃいませー。…あ、美沙ちゃん」
「久しぶりー翔くん」
「ちょっとちょっと。美沙ちゃん、浮気?」
「意味不明だし。…翔くん、おすすめとかある?」
翔くんは、この本屋さんのアルバイト。
夏くらいからここのアルバイトさんだ。
大学生で、やっぱり一番の魅力は爽やかさ。
あの有名な漫画のイケメンボーイ風早くん並みの爽やかさである。
風早くんなんて現実にはいないのだ、と思っていたのに、現れたのだ。
「翔くん…………翔くんは地上に舞い降りてきた天使…、いや風早くんだよ」
「あはは。美沙ちゃん今日も説好調だね」
「うん」
「そりゃ、よかった。…おすすめはね、高宮英理子先生の新作の『鈴蘭』かな」
「えっ、新作出たの‼?それにする!それ買う!」