シークレットガール!【完】
「ほんとのほんと?」
「うん。命賭けれるよ」
あんなのに手を出すなんて、お金もらっても出来ないね。
やるくらいなら、ヒマラヤ山脈登ってくるわ。
「よかったぁ。みーちゃんが禁断の恋に走らなくて」
あんなのと恋したら、オール18禁ワールドだから。
もうずっとベットインだから。はるるんよりヤバめだから。
「なんで、そんなこと思ったの?果奈」
「いや、だって。…みーちゃんだし?」
「………………今から保健室行ってくる」
「わぁあ!みーちゃん、怒った‼?ごめんごめんっ!もっと、オブラートに包むべきだったかな‼?」
もうそれ言ってる時点でオブラートに言ってないからね。
「……じゃ」
焦る果奈を後ろにあたしは、保健室に向かい始めた。
保健室に行くには、最短距離では2年校舎を通らなければならないわけで。
会いたくないからって、遠回りするほど美沙ちゃんは面倒をするほど心は広くないのだ。
そもそも、志貴先輩たちのクラスは2階だから、1階を通ればいい話だ。
「………………」
とことことこ。廊下を歩く。
元々学校での遭遇率は低いため、会うことなく保健室に到着。
「……………」
ここに入ると、変態ワールド。
勇気という名の決意をあたしにください。
ガラリ、と勢いよく保健室の扉を開いた。
「…………いないし」
構えた意味なくない?無駄な神経削っちゃったんだけど。
センセは“美沙ちゃんのピュアハートのメンタル削った罪”で死刑だわ、こりゃ。
チッと舌打ちをすると、廊下から早足をする音がした。
「倉條、早かったな。ほら、座れ」
後ろから、保健室に入るように軽く背中を押されて、よろけて転けそうになった。
何この扱い。美沙ちゃん、オコですけど。
少し急いできたように来た彼にあたしは一言。
「言い残すことはありますか」
「倉條ゴリラ」
「誰の入れ知恵じゃコラ」
卍固めを決めたいと思うくらい、この男はいつも一枚上手だ。