シークレットガール!【完】
「それで、センセ。なんで、呼び出ししたの?あたし、今日誕生日なんだけど。幸せな気持ちを壊さないでくれるかな?」
「グチグチうっせぇガキだな」
あ、カナちゃんキレたり。
もうっ。ほんと短気なんだから。
「用件。用件だけ教えて」
そう言えば。
彼は鋭く尖っていた眼光を丸みを帯さす。
まるで、飴と鞭。
「なぁ倉條」
「何」
「本当に、それでいいのかよ」
誕生日は、嫌いだった。
だって、お父さんはこの日のためにぬいぐるみを買って、事故に遭ったのだから。
あたしが後悔すべき日なのだから。
この日がなければ、お父さんは死ななかった。
いや、あの時のこの日が悪いのではないのかもしれない。
そもそも、この日にあたしが生まれてきた事自体が悪なのかもしれない。
分からない。
優季はあたしが悪くないと言う。
確かに、そうだ。
雪が降らなかったら、お父さんが死ななかったかもしれない。
お父さんが厳しい人だったら、ぬいぐるみを買いにいこうだなんて思わなかったかもしれない。
それは、“もしも”の話で。
現実は“もしも”などない。
“お父さんは死んだ”これが事実だ。
誰が殺した?
雪?あたし?ぬいぐるみ?お父さんの性格?
そんなの決まってる。
“全部”が原因だ。
すべての原因はあたしじゃない。
あたしは、ただその原因の数パーセントを占めているだけ。
だから、“数パーセントの原因“らしい償いたい。
───もう、“お父さん”の幸せを壊したくない。