シークレットガール!【完】
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マイバースデーはもう終盤。
校舎には、吹奏楽の高い音が響いている。
日はもう傾き始めていて、あと数十分すれば、暗くなり始めるだろう。
「美ー沙ちゃん」
「何」
「わっ、むっちゃ機嫌悪っ」
これもすべて、センセのせいだ。あのクソ男のせいだ。あの変態のせいだ。
マジで一回死んできて、またキリストの如く生き返って、また死んで、生き返って、あの男にエルボー決めさせてほしい。
神様だって、それを望んでいるに違いない。
「んで、何?はるるん」
「誰ー。こんなに美沙ちゃんを苛つかせた人はー」
はるるんのいうミユッキーですよ。
なんてことは、もっと面倒ごとになるから言わないけど。
「………んで、はるるん何。あたし、帰りたいんだけど」
「えっ、帰るの?」
「何で驚くの」
「いや、橋本ッチがいないじゃーん?」
「優季と一心同体ってワケじゃないし。気持ち悪い」
マイ相棒の優季くんは、ご馳走を作るために、ダッシュで帰ったんだよコンチキショー。
「やーん、辛辣ー」
「………………志貴先輩は?」
君も相方の志貴先輩ッチがいないじゃん。
一心同体の愛しの相方ちゃんが。
「志貴はトイレー。俺は美沙ちゃんが帰りそーどから、足止め係りー」
「………………」
何で誕生日なのに、足止めされなければならんのだ。めんどくさい。
ぐいぐい、はるるんを通り抜けようと奮闘するが、はるるん兵士は手強い。
うんともすんとも言わなかった。