シークレットガール!【完】
諦めよう。頑張るのもめんどくさい。
それに、はるるんと志貴先輩って何気に頑固だし。
突破は無理とみた。
「はぁ……」
「何ー?そのため息。俺がイケメン過ぎて困っちゃったー?」
「………………」
やってらんない。
視線を、はるるんから窓の向こうのゆっくりと動く雲に移した。
「美ー沙ちゃーん。無視が一番、傷つくって知らなかったー?」
「うん。知らなかった」
飛行機雲、発見。
あの雲、ゴリラに似てるなぁ。
「………そーいえばー、昨日。チョコレートくれなかったよねー」
「欲しかったの?」
はるるんの顔を覗いて、真偽を確める。
「もっちろーん」
ニッコリ、笑顔を浮かべる彼から真偽は読み取れなかった。
「ふーん。お葬式に持ってってあげる」
こんな感じな会話のキャッチボールをしていたら。
挙げ句の果てには、
「うぅ、……美沙ちゃんが冷た過ぎる……、っ」
はるるんうそ泣きをやり始めた。
顔を手で覆ったように見せかけて、指の間からチラチラこっち見てんだけど。
慰めて、っていうウザい視線向けてくるんですけど。
………………。
「………ごめんって。強く当たりすぎた」
あたしが折れた。いや、だって。耐えきれなかったし。
なんか、視線ウザかったけど、少し可愛いかもって思っちゃったし。
あたしって、ほら。可愛い大好きだし。
仕方ないことだ。