シークレットガール!【完】
やれやれ、と肩を竦めたはるるん。
「志貴ー、もう美沙ちゃんイジめるの止めてあげてー。これ以上、頬っぺた柔らかくしてどーすんのー。垂れ下がってくるよー?責任取れって賠償金請求してくるかもよー?」
んなことするはずないでしょ。
志貴先輩がこれごときで手を離すわけない。
「…………そうだな」
んんんんんんんんんんん‼?
「エッ、ちょっと待って奥さん!」
あっさり離された。
迷いもしなかったよ‼?この人。
「は?頬っぺた伸ばしたかったのか?」
「そ、そういうわけじゃないけど!」
なんか悔しいじゃん!
あんな理由で離されるとか屈辱じゃん!
あたしはその原因を作った男をキッと睨む。
すぐにその視線に気付いた彼はニコニコ笑っていて、顔面右ストレートを決めようとするが、決まらなかった。
いと悲し。
「美沙ちゃーん、俺のイケメン過ぎる顔に痣が出来たら、世界中の女の子が泣いちゃうよー」
「誰も泣くわけないよ自意識過剰!」
「んー?それ、照れ隠し?もう遠回しの告白アリガトー」
なんとポジティブ。
これが変態星人の特殊効果か。
勝てるわけがないじゃん。
あたしは、自然と拳を強く握る。
あぁ。力が漲(みなぎ)ってきた気がする。
きっと、世界中の反はるるん女子があたしに元気を分けてくれているに違いない。
「オッス。オラ孫美沙!ワクワクすっぞ!」
「志貴、先帰っていい?」
「むむむ!それは逃げか!変態星人ハルルン!潔くあたしと勝負するがよい!」
胸の前で再度、拳を固める。
いけるよ。孫美沙いけるよ気がする…っ。
「美沙ちゃーん、本気でバトルする気ー?」
バトル?そんな生ぬるいものじゃない。
「戦争だッハルルン!」
「うん、ごめん着いていけないわ」
はるるんには珍しい現実を見たつっこみが炸裂した。