シークレットガール!【完】
「…ねぇ少しお金多くない?」
「細かいのなかったから」
財布の中身は札と一円玉と500円玉しかなかったんだのだ。
仕方ないことである。
「じゃあ、今度奢ってね」
そんな機会作る気は毛頭ないけど。
そんなことを片隅に思いながら、アイスが出来るのを待つ。
「チョコチップとチョコミントとストロベリーのお客様できま「はいはーい‼あたしたちでーすっ」
意気のいいおじさんの声がしたので。
いますいますいるから気付いてお願いだから気付いておじさぁぁあぁあん気付いてねぇ気付いてよアピールをする。
だって、だって。スルーされたらアイス食べれないでしょ?
そんなの絶対嫌だもん。
「はいはーい‼おじさん、あたしたちーっ」
これでもか、というほど手をブンブンと振る。
そんだけしたら、おじさんも気付いてくれてるようで、ニコニコとあたしに笑みを向けてくれた。
「はい、お嬢ちゃん」
「ありがとーおじさん」
まず最初にストロベリー、次にチョコチップ、最後にチョコミントの順に渡されて、バケツリレー方式でアイスを回していく。
手元にあるチョコミントのアイス。
久しぶりに見るアイスに気分が高揚する。
「どこで食べるの?」
早く食べたい。
「……食べながらでいいんじゃねぇの?」
「志貴先輩があたしの質問に答えてくれた志貴先輩があたしの質問に答えてくれた志貴先輩があたしの質問に答えてくれた志貴先輩があたしの質問に答えてくれた志貴先輩があたしの……」
「キモい」
うへへへへ。
キモいと言われても照れ隠しにしか思えませんよー(照れ隠しじゃない)。