シークレットガール!【完】
***
「……………」
密閉された空間。
そこには、ペンの滑る音だけが聞こえていて。
酷く静寂である。
「……倉條サーン、」
男の少し低めの声が、部屋の中を流れる。
え。もう10分経ったの?早すぎなんですけど。
もうちょっと寝たいんですけど。
自分の欲求に忠実なあたしは、彼を無視ることに決定。
我慢の限界かして、男は勢いよくイスから立つ。
それで発せられた音に反応して、あたしはビクッと体を揺らしたのは言うまでもない。
「おいクソガキ。押し倒すぞ」
「早まっちゃダメですよカナちゃん。てゆーか、もう、あたし、倒れてますけど」
「ぁあ?準備万端ってか。最近のガキは用意が早くていいな」
「カナちゃん、大声で変態って叫んでいいですか」
最終兵器の脅しを使うと、あらまあらま。
チッと舌打ちし、彼は離れていった。
「ちょっと、カナちゃ~ん。あたしとの久しぶりの再会だっていうのに、舌打ちって酷くない?」
「うぜぇから、仕方ないだろ」
「…………」
とてもストレートで、美沙ちゃんHPを抉り取った。
「……………よっこらしょ」
ベットから降りる。
その際に、ギシリとスプリング音が鳴った。
「…………カナちゃん、お願いがあるの」
書類に目を通す彼は、こちらを一瞥し溜め息を溢す。
それを肯定と取ったあたしは、小さく息を吸う。
「………志貴先輩とはるるんに会いたいです」