シークレットガール!【完】



***



「優季ー、おはよ……って、熱?顔赤いよ?」


「あー、そうかも」


「今日、合格発表日だっけ?」


「おー」


空返事じゃん。


「大丈夫?」


「大丈夫だろ………いでっ」


何もないところで躓(つまづ)いちゃう人を大丈夫と言いませんよ、優季クン。


「忍さんに頼んだら?送ってください、って」


「馬鹿か。診察中だったら、どうするんだよ。自分で行けるし」


林檎を連想させるような赤に頬を染めている人に言われても、ねぇ……。


道ばたでぶっ倒れそうで怖いんですけど。


……………。


橋本優季(15)が道端で倒れて死亡。なんていうニュースが流れて、ここで彼を止めなかったあたしが責められると困るので、ナースコールを押した。


「ごめんなさい、鈴村さんお願いします」


『わかりました』と単調な返事を貰い、ナースコールは切れた。


「どっか具合悪いのか?」


それは優季クンですね。


「熱あるのか?」


それも優季クンですね!


「頭、痛いのか?」


それも優季クンですね!!


自分の症状あげてるでしょ!優季サン!


「あのね、優季サン。そんなフラフラな状態でお外に行ったら、即ドッカーンで、ピーポーピーポーなわけよ。お分かり?」


「ドッカーンって何だよ」


「爆発」


「なんで、爆発すんだよ」


「日本だって何があるか分からないんだから。100%安全は保証されてないんだからね」


「分かった。ドッカーンはお前の頭が爆発する音か」


「ちげぇよ」


もうもう。美沙ちゃんがドッカーンとか全国の美沙ちゃんファンが泣いちゃうじゃないの。


と、優季を休ませるように説得をしていると、ノック音が部屋に響き、鈴村さん入ってきた。





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