シークレットガール!【完】
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「優季ー、おはよ……って、熱?顔赤いよ?」
「あー、そうかも」
「今日、合格発表日だっけ?」
「おー」
空返事じゃん。
「大丈夫?」
「大丈夫だろ………いでっ」
何もないところで躓(つまづ)いちゃう人を大丈夫と言いませんよ、優季クン。
「忍さんに頼んだら?送ってください、って」
「馬鹿か。診察中だったら、どうするんだよ。自分で行けるし」
林檎を連想させるような赤に頬を染めている人に言われても、ねぇ……。
道ばたでぶっ倒れそうで怖いんですけど。
……………。
橋本優季(15)が道端で倒れて死亡。なんていうニュースが流れて、ここで彼を止めなかったあたしが責められると困るので、ナースコールを押した。
「ごめんなさい、鈴村さんお願いします」
『わかりました』と単調な返事を貰い、ナースコールは切れた。
「どっか具合悪いのか?」
それは優季クンですね。
「熱あるのか?」
それも優季クンですね!
「頭、痛いのか?」
それも優季クンですね!!
自分の症状あげてるでしょ!優季サン!
「あのね、優季サン。そんなフラフラな状態でお外に行ったら、即ドッカーンで、ピーポーピーポーなわけよ。お分かり?」
「ドッカーンって何だよ」
「爆発」
「なんで、爆発すんだよ」
「日本だって何があるか分からないんだから。100%安全は保証されてないんだからね」
「分かった。ドッカーンはお前の頭が爆発する音か」
「ちげぇよ」
もうもう。美沙ちゃんがドッカーンとか全国の美沙ちゃんファンが泣いちゃうじゃないの。
と、優季を休ませるように説得をしていると、ノック音が部屋に響き、鈴村さん入ってきた。