シークレットガール!【完】
****
あー、もう何。あのバカ。
何が唐揚げ、だ。
アホだアホだろアイツ。
志貴先輩達といるときにメール送るなっての。
ん?じゃあメール見なけりゃいいじゃん?
それはしょうがない。メールは来たらすぐ読む派だからね、あたし。
あたしはスマホを再び開き20150410と入力し、ロックを解除。
滑るように手を走らせ、電話のアイコンを押す。
スマホを耳に持っていき、彼が出てくるのを待つ。
聞こえるのは無機質な電子音。
数秒してから彼は出た。
「遅い」
「………用件は」
何なのコイツ。会ったらぶっ殺す。
「唐揚げ、ヤダ」
「俺は唐揚げがいい」
ワガママか。
作るのは、あたしだっての。
唐揚げが食べたけりゃ自分で作れ。
………なんて、あたしは言える身分ではない。
「…あー、もー、わかった‼スーパー寄るから少し遅れる」
「ん」
と返事されると同時にまた無機質な電子音に戻る。
ヤツはそういうヤツなのだ。橋本優季はそういうヤツなのだ。
電話とかメールは全部用件のみ。
しかも文で書いてあればギリ許せるが、単語のみである。
しばしば、読み違いを違いをするのは仕方ないことだろう。
そんなことを考えても埒があかないので、スマホをしまい、財布を取り出す。
今日はあるものでご飯作ろうとしてたので、あまりお金を持ってきてないし。
500円弱。
…うん。ギリいけるな。
そう思い、あたしはスーパーに足を向けたのであった。