シークレットガール!【完】



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「先輩先輩、傘持ってきましたか?」


「持ってきてる」


「……………」


「何でいつも持ってくるんですか‼」


ついに言った。ついに言ってやったぞ。


そう今は梅雨の季節。


と言ったらアレしかないじゃないか‼


「相合い傘はいつ出来るんですかっ」


そう、あいあい傘。


【あいあい傘】 むつまじい男女が寄り添って一本の傘をさすこと。


つまり!


男女が近い距離で1つの小さな傘の中に肩を並べ、うへへへうへへへとする恋愛レボリューションなのだ。


何がレボリューション?それは気持ちがレボリューションだよ。


「つーか、今日晴れだし」


「…ひ、日傘でしましょう!」


「……………」


「日傘でしましょう!」


「……聞こえてる」


「なら、返事してくださいよ」


「………………」


だから何故黙る。


むっとなって、あたしは志貴先輩から空へと視線を移す。


青空が広がり、白い雲がところどころに浮いている。


数日ぶりの晴れ。


晴れといれば、はるるんこと朝霧晴くん。


「はるるんはー?」


「アイツは、……」


え、何。何故にじらすの。


じらしプレイ?ごめん、あたし、そーいうので喜ぶようなMじゃないんですけと。


「あれだあれ」


何があれだよ。


不審に思ってぐっとシワを寄せるといつかの会話を思い出す。





───『プレイボーイだし、』






「女の子のところ、ね……」


うん。絶対そうだ。


前退屈なときに何してるのってメールを送ったら、ケバいオネエサマときすしている写真を送りやがったのだ。


本当に迷惑極まりない。


本当に困ったちゃんだ。






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