シークレットガール!【完】
ショッピングモールに着いたのは4時20分頃。
ちなみにこのショッピングモールは駅から遠いためバスを使っても最低駅までに15分。
つまり、ここに、5時45分まで入れるって事で。
短すぎ、だと思った。
あぁもう。優季に文句言いたい。
けれども、迷惑かけているのはあたしだ。
そんな事を、あたしは言える立場ではないのだ。
そう思うと小さな溜め息が漏れて、少し幸せが逃げたような気がした。
「先輩、最初はゲームセンターに行きましょうか」
「分かってる」
ゲームセンターは2階の一番奥。何とも言えないほど遠かった。
ゲームセンター、略してゲーセンに着いたけど。
「…何しますか?」
「お前が言い出しっぺだろ」
「あたし、ゲーセンは今日初めてなんですよね」
「……………」
え。不味いこと言ったっけ?
「お前どんな生活してきたんだよ」
訝しげな色に染まった瞳が向けられる。
「きっと普通の生活ですよ」
あそこは、同じことを繰り返すだけのつまらない世界。
きっと、きっと。
それはあやふやな言葉で。
肯定も否定もしない言葉。
あたしは、あの世界で普通の生活に憧れていた人なのだ。
「じゃあ、最初にもぐら叩きしたいです」
本で読んだことがある。
読んでて楽しそうだったのを覚えている。
「ん」
志貴先輩にリードされて、もぐら叩きに向かった。