シークレットガール!【完】



「深く被ってください、先輩。一番、バレる可能性があるのは先輩なんですから」


目の前の先輩のキャップのつばを無理矢理下にする。


鞄の中からだて眼鏡をだし、彼に渡す。


ちなみにあたしはフード付きのパーカーを着て、フードを深く被っている。


なんと素晴らしい不審者二人組なのだろうか。


今から強盗でもしちゃいそうな格好だ。


はるるんと志貴先輩が背を向けていて、マナミ先輩とあたしが正面を向き合っていている。


もちろんの如く、あたしは志貴先輩とはるるんでマナミ先輩の顔は見ることは出来ないけども。


「ご注文は?」


さっきの店員さんが彼らのところで注文を聞いている。


「ブラックコーヒーとミルクティーで」


はるるんの声がして、志貴先輩は眉間にシワを寄せた。


何故に寄せた。


意味分からん。


まぁいいや。


今回の目的ははるるんの調査。


悪く言えば、マナミ先輩を使ったはるるんの本音調査って感じだ。


志貴先輩は若干オマケというか、ただ単にデートをしたくて誘ったわけで、関係ないのだ。


今からははるるん達の会話に集中させてもらうよ。


意味の分からない謎の歌をBGMにあたしは二人の会話に集中させる。



「ハルくん」


「何かなーマナミちゃん」


「ゲリラライブって言うんだっけ?これ」


「そうだねー、煩いよね、迷惑だねー」


「うふふ、そうね。ハルくん、ちょっとミルクティー一口飲ませてくれない?」


「いいよ。マナミちゃんのコーヒー飲ませてもらっていー?」


「苦いわよ」


「大丈夫だってー」



何この普通の会話。


何このあたしとマナミ先輩との態度の差。


マナミ先輩も何だ。うふふって笑ったよ。上品に笑ったよ。


そこはうへへへへ!だろ!


マジで女子力たけぇ。


まぁあたしには及ばないけども。


マナミ先輩、早く本題切り出してくれないなぁ。


つまらなくなってきて、またミルクティーを口に運んだ。




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