未知の世界
私は学校を出ると、バス停一つ分離れた病院へ歩いて向かった。




途中、小学生が賑やかに遊び回る河川敷に腰を下ろし、眺めていた。














どのくらい経ったのだろう。携帯を見ると、座り始めてから2時間も経っていたのだ。






やばっ、病院終わっちゃう。








急いで走った。









病院が終わってしまうと思う半面、終わっていて欲しいと、どこか心の中でつぶやいてる自分がいる。










病院なんて、行ったことないし、私のこの傷だらけの体を見られるなんて、嫌だよ。













なんて、様々な不安が頭をよぎっている間に、病院に着いてしまった。









『やごな総合病院』









ドーンとした佇まい。








こんな大きな病院に、私が病院での再検査をサボってこのまま帰ったとしても、そんなことは、誰も気にしない。








先生にまた呼び出しされて、また行くように促されるくらいだと思う。







なんて、考えていたけど、このまま帰ることに後ろめたさを感じて、とぼとぼと病院内へ向かった。









病院の中に入ると、鼻をつーんと突くような消毒の匂いと、たくさんの人の臭い。





嗅ぐだけで気分が滅入りそう。







少しずつ受付へ近づく。








どこか近寄り難い受付。















やっぱり、このまま帰ろう。








と回れ右をして元来た道を向かうと、











「こんにちは。○○高校の方ですか?」












と声がした。私は、声の方を振り向くと、そこには、受付の女性が私を笑顔で見ていた。













つい笑顔で返さなければ失礼だと、笑顔になったものの、帰る機会を失い心の中でダムが決壊したのかと思うような音を立てた。















そして私は、いつのまにか頷いてた。












受付の女性は、私にここで待つようにいうと、どこかに電話をした後、








「診察の時間は終わってますが、高校からの連絡があり、先生が待ってくれているので、今から二階の小児科の外来へ向かってください。」








小児科と聞き、自分が子供扱いされている気がして、腹立しくも、言われたとおり小児科に向かっていた。








小児科診察室前へ行くと、一人の女性看護師さんが私を迎えてくれ、診察室に通された。

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