未知の世界
サイレンを鳴らした車が、病院の救急搬送口に到着。
数人の医者と看護師が、車から出てくる佐藤先生とかなちゃんを、皆で慎重にストレッチャーに乗せる。
「腹部に杭が刺さってる。すぐに輸血の準備。
呼吸は微弱だが、意識はなし。
すぐ処置室へ。」
と佐藤先生が指揮する。
早川先生と佐藤先生は、急いで術医に着替えた。
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6時間が経過したころ、手術は終わった。
かなちゃんは無事であったが、意識が戻るかまだわからない。
酸素マスクを付け、体に管を通した体。
腹部に重みがかからないように、腹部周りには、囲いがされ布団をかけられている。
手を握るが、雨に打たれた体はなかなか温まらない。
椅子に座り、両手で手を包む。
「そうだよな。生きてる意味なんて、わからないよな。
辛かったよな。気持ちはわかるんだが、こればかりは自分で切り開かないといけないんだ。
だけど、こんなに自分を傷付けなくたっていいじゃないか。」
と、眠ったままのかなちゃんにつぶやく。
ガラッ
「佐藤先生、様子はどうですか?」
と、早川先生が入ってくる。
「まだ眠ったままだ。」
「まさか、あんな状態で見つかると、思ってもいませんでした。」
「ああなる前に気づいてやらないといけかったんだ。」
と言い、佐藤先生と早川先生が部屋を後にした。
「うっ」
微かに口が動く。
目がうっすらと開く。