未知の世界
少し寝て起きると18時になっていた。
ご飯がそろそろ運ばれてくるところだったが、早くタバコのことを終わらせよう、と思い持っていたタバコを鞄に詰めて、病室を出た。
まだリハビリも一度しかしていないが、気合いで歩けると思い、何とか歩いた。
3階へ行き、前に私が医局長に捕まった部屋の前まで行った。
外から覗いてみるけど、白衣の先生ばかりでどこにいるのかわからない。
段々と怖くなってきた。
タバコを、置いて逃げ出したくなっていた。
すると後ろから、
「こんな時間にどうした?」
っと言われ、驚いた拍子に、しりもちをついてしまった。
痛っ!
お腹の傷が痛む。
「こんなところまで歩いて来たのか?どうした?」
といい、しゃがむ佐藤先生。
私がなかなか言い出せずうつむいてると、体を抱きかかえ、医局の隣の部屋に連れていかれた。
そこにはベッドがあり、そのままベッドに乗せられた。
「どうしたんだ?」
と聞かれ、今しかないと思い、私は、持っていた鞄を佐藤先生に渡した。
「屋上の、、、、、タバコ、、、
私のものです。」
と小さなかすれそな声で言う。
「ごめんなさい。」
というと、佐藤先生は私の頭に手を置き、私の前に座った。
「よく言えたな。
タバコは体に悪いことばかりだ。
もしかしたら、これが原因で喘息が出たかもしれないな。」
と佐藤先生に言われた。
「ごめん、、、なさい。」
ともう一度言うが、息が詰まってうまく喋れない。
涙がポタポタと出てくる。
タバコを吸ってる時、何も罪悪感もなく当然のように吸っていた。
けど、さっき翔くんに体を大切にすることを言われ、自分のしたことがとても最低なことだと分かった。
このことが、皆を裏切っていること。
本当に、ごめんなさい。
「ヒッ、、、ヒッ、、、ヒッ、、、
はぁはぁはぁはぁ」
また呼吸が乱れてきた。
ダメダメ、
「ふー」
と自分で呼吸を整えることができた。
「治まったな。聴診するから、服上げて」
と言われ、黙って服を上げる。
やっぱり深刻な顔。
診察を終えると、
「良くないな。リハビリも今日からなのに、ここまで歩いてきたから、傷が痛んだろ?
傷の消毒もするからな。」
といい、部屋にあった消毒セットでお腹を消毒し始めた。
消毒が終わると、車椅子は使わずに、佐藤先生にそのまはま抱きかかえられ、部屋へもどった。
先生に抱きかかえられている時に、つい
「お兄ちゃんってこんな感じなのかな?」
と独り言のように言ってしまった。
すると、
「きょうだいで、お姫様抱っこはないだろ?」
「・・・」
お姫様抱っこ?
恥ずかしいっ!
私って、お姫様抱っこされてんだ!
「いやっ、違う、お姫、、、様、、抱っこ、じゃなくて、
こういう温もりというか、、、何というか、、、
わた、、し、きょうだいいないので。」
と恥ずかしさのあまり自分で何を言ってるのかわからなかった。
「面白いな。冗談だ。
ご飯食べたら、吸入するように、看護師にいっておくからな。
これから朝と寝る前にするから。」
「はい。」
胸の音を聞けば分かっちゃうんだね。
夜に喘息出てること。
そのあと、病室に戻り先生が帰ると、翔くんが、
「お疲れ。」
と声をかけてくれた。