未知の世界

~その頃、病棟では~






シャッ








看護師さんがカーテンを開け、消灯前にベッドに子供達がいるか確認に来ていた。








「あれ?トイレかな?」







と、かなちゃんのカーテンを閉める。







次に翔くんのベッドへ。







シャッ







「あれ、、








二人ともトイレ?」






と二人共いないことに、少し疑問を感じる。






「智喜くん、翔くんとかなちゃんは?」






と、智喜くんに聞くと、






「え?1時間くらい前に、二人とも寝たよ。







今日は勉強しなくていいから寝ようってなこと言ってカーテン閉めてたけど。」






と智喜くんが答える。







「えっ?二人で、、、






1時間前から、いない?」







慌てて、ナースステーションに走る看護師。






「翔くんとかなちゃんが二人でいなくなりました!」






と、他の当直の看護師に伝える。     







「オペ、さっき終わったようだから、佐藤先生に連絡します。」






「私は、トイレや待合室を見てきます!」




と慌ただしくなるナースステーション。






「あ、佐藤先生ですか?1時間前から、鈴木かなさんと、佐藤翔くんが部屋にいません。」





と、看護師が伝える。





受話器の向こうから、






「分かった。俺は、違う階も見てくるから。」






と聞こえる。
















医局から、一階へ走る佐藤先生。






一階から順に上がって、全ての階を見ることにした。







どこへ行ったんだ!あいつら。  






と何か二人にあったらと、ますます焦る。


    




ガコンッ







そんなとき、一階の売店の近くから音がした。






佐藤先生が、音のする方へ行くと、





翔くんが、自販機ジュースを買っている。





「翔っ!何してんだ!





かなは?」






と聞くと、翔くんは驚いたのか、ビクッと体を動かした。






「や、、、あの、、、






屋上で、、、






花火見てて、、、」






パシッ!






「馬鹿野郎!






喘息なんだぞ!煙りを吸ったらどうなるか分からないのか!」





ハッ!




と、今かなちゃんが危険であることにようやく翔くんは気づいた。 
   


 
 
「お前は、部屋に戻って看護師に伝えろ。




走らなくていいからっ。」  






と言い、慌ててエレベーターに佐藤先生は走り、屋上へ向かった。





 
あいつは、喘息について知識がなさすぎる。





何も起こっていないといいんだが。




無事でいてくれ!





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