未知の世界
「はぁはぁ」
息を切らした佐藤先生が、屋上へ急ぐ。
ドンっ!
屋上の扉を開け、周囲を見渡しながら進んでいく。
どこだ?
どこだ?
ベンチの方に目をやる。
ピューーーーー
ドンっ!
と、花火が打ち上がった瞬間に、ベンチの側に横たわる影。
ハッ!
とし、慌てて駆け寄ると、
そこには全身が小刻みに震える、かなの姿があった。
「かなっ!かなっ!おいっ!」
慌てて脈を取り、口に手を当て、呼吸を確認した。
次々と打ち上がる花火に照らされたかなの顔は、真っ青になり、唇は青紫色に変わっている。
頬を何度も叩くが、目を開ける様子はない。
急いで抱き上げ、屋上の扉へ走る。
屋上から階段を下り、エレベーターまで急ぐ。
エレベーターを待つ時間は数分なのに、何十分にも感じる。
お願いだから、逝くな!
お前は、俺が、、、
俺が、、、
いつか約束したんだから。
必ず、一緒に暮らすんだって。
待ってろ!