未知の世界
手に温もりを感じ、目を開けると、
そこに白い大きな家も、大きな犬も、男の子もおじさんもいなかった。
白い天井、見慣れた天井。
夢だったんだ。
初めて見た夢だけど、初めてではない。
あそこに行ったことがある気がした。
「目が覚めたね。」
声のする方を見ると、早川先生が私の手を握っていた。
「2日間、油断のできない状態だったよ。
もう、目を覚ましたから、大丈夫だね。」
といい、ナースコールを押した。
ぼーっとして、うまく考えれない。
口には呼吸器がつけられ、唇が乾燥していた。
「呼吸器を外すね。」
といい、私の口から管を抜いた。
「げほっ、げほっ」
「大丈夫?」
苦しかった、
初めてではないけど。
苦しかった。
でも、あの夢を見る前は、もっと苦しかったんだ。
そうだ!
花火。
翔くん。
どこに行っちゃったんだろう。
もう会えないのかな。