君色に染まれ
明くる日 美月は営業前に坂巻を呼び出した。

祐希奈はまだ知らなかった。

「祐希奈 おはよう。」美月は何もなかったように挨拶した。
おはよう。

二人は以前のような仲良しこよしではなくなっていた。

美月の告白のせいで二人の友情はもはや切れかけていた。

坂巻が新人を集めて声をあげた。
「今日は団体客が来ます。皆さん慌てないように。」

新人6名はそれぞれ成長していた。

特に祐希奈はフォローにも入れるし、ホール全体を把握出来るまで成長していた。
坂巻は口には出さないが祐希奈をサブリーダーとして迎えるのもありだと感じていた。

美月は告白を終え、何だか力が抜けていた。

いらっしゃいませ! 10名様ですね。
こちらへどうぞ。

祐希奈は必死に仕事に没頭した。

営業時間が終わった。

祐希奈は美月を探したが、いなかったから先に帰った。

二人の温度差はどんどん広がるばかり。

ただいま
祐希奈はインターホンを押した。
いつものように母親が出てきた。

「お疲れ様 ご飯出来とるよ。今日は焼き鳥よ。」

祐希奈は焼き鳥を頬張りながら、今日の忙しさについて母に語った。

ホールとしての責任感、周囲をいち早く察知する能力が祐希奈にはあった。

夜 美月からは連絡は来なかった。

祐希奈は少し怒っていた。先に抜け駆けして告白するなんて…

もう二人は関係修復不能手前にまで深刻だった。
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