タカラモノ~小さな恋物語~
なんでこの子が私に…?
「あの、百瀬飛鳥さんですよね。健吾くんがよく話しているので…」
「は?」
あいつ、何私の話してるの~~~!?
眉間にしわでも寄っていたのか、慌てて宇野さんが話す。
「あの、その、変な話じゃなくて…本当にいつも楽しそうに話されているんです。バイトの話や、飛鳥さんの話。」
「は、はぁ…」
と、その時応援のチャイムが鳴った。
「すみません。プライベートな話でしたら……」
「あ、そうですよね、お仕事中にすみません。」
そう言って、しょぼんとする宇野さん。
はっきり言って、めちゃくちゃかわいい子だった。
同性だけれど、胸キュンしてしまいそうな女の子。
そのせいか、私は「今日、私5時上がりなので、その時にお話し伺いましょうか?」と、気付いたら言っていた。
「本当ですか?!」
パァァッと顔が明るくなる宇野さん。
さっきまでの緊張すら解けたのか、とても柔らかい表情をしていた。
「駅前のカフェでいいですか?そこ、行きます。」
「はいっ、お願いします!」
何やら、ややこしいことが起きそう。
私の滅多に働かない直感が、とても嫌な胸騒ぎを引き起こさせたのであった。