タカラモノ~小さな恋物語~
「飛鳥さんは健吾くんのこと、どう思われますか?」
……困った。
私の今までの人生で、片手の指に入るくらいの困った瞬間な気がする。
だって会ってまだ数時間の子にこんなこと聞かれても、なんて答えればいいのかなんて分からない。
そもそも、私にだって聞きたいことはいくらでもある。
少し話してくれたけど、宇野紗彩ちゃん…あなたはそもそも誰?
なんでお店に来たの?
なんで私に接触してきたの?
なんでケンのことばかり聞くの?
なんで私とそんなに話したいの?
すべてが分からないことだらけ。
私は運ばれてきたホワイトモカに口を付ける。
甘いモカが全身の体の疲れを癒してくれている気分だった。
「ごめんね…、私自身この状況がまだよく分からないんだ。なんて答えればいいのかも分からない。」
「そうですよね、迷惑ですね…」
宇野さんの言葉に私は否定はしなかった。
ひどい言い方かもしれないけれど、迷惑…と思ってしまったから。
「本当にごめんなさい。それでも、飛鳥さんがもう最後の砦なんです。」
「砦…?」
どういうこと?