タカラモノ~小さな恋物語~



「まず、マネージャーと選手が思っていたほど関わりもなくて…部員の人数も多く、監督やコーチのお手伝いや雑用ばかりでした。

それに、健吾くん、初めの頃は私を含めちょくちょく女の子と喋ったりしていたのですが、夏前くらいから全く女子とは喋らなくなったんです。」



「え…」



「もちろんモテるから、告白もたくさんされていました。でも片っ端から断っていたみたいで…、次第に女子の間でも人気が落ちていったというか、あまり話題になる人ではなくなりました。」



そうなんだ。


ケンってば学校で、そんな様子だったの?


私、てっきり……




「それでも私、健吾くんのこと好きなんです。」



「宇野さん…」



「もちろん最初は一目惚れっていう形でした。でもずっと健吾くんのこと見てきて、健吾くん自身にどんどん惹かれました。

仲間思いなところ、負けず嫌いなところ、人一倍努力するところ…

私自身マネージャーとしての役割にもやりがいを持てるようになって、大学サッカーも大好きになりました。1試合1試合にドラマがあって、悔しさや喜び、夢、そんなことを感じられるんです。」




宇野さんの目はキラキラと輝いていた。



本当に好きなんだね、サッカーも、マネージャーも、そしてケンも。






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