タカラモノ~小さな恋物語~
今日のことは絶対に忘れたくないと思った。
いや、忘れないだろう。
私にとって、この気持ちは本当に大切。
店長への気持ちとは明らかに違っていた。
誰かとケンが一緒になればいい、だなんてちっとも思えない。
私でも、嫉妬するんだ…。
叶わない恋だけれど、ケンのそばに居たい。
少しでも長く、ケンと居たいと思う。
ケンが好きな人と一緒になるとき、私は笑顔でいられるのだろうか?
「……。」
でも、この気持ちに後悔は無かった。
苦しいし、切ないけれど、ケンを好きになれて良かったと思うし、この甘酸っぱい気持ちも忘れたくない。
ケンの好きな人ってどんな子なんだろう?
可愛い系?それとも綺麗系?
同い年?年下?年上?
いつか会える時が来るのかなぁ…?
その時はちゃんと笑おう。
ケンのことが大好きだからこそ、大切だからこそ。
ケン、今日はありがとう。
私はそっと目を閉じて思った。
家まであと少しだった。