タカラモノ~小さな恋物語~
5*この気持ちはタカラモノ。
「……というわけで、ごめんなさい。
私、宇野さんの恋、応援できない。こんなふうに後から言うのってズルいよね。」
お馴染みの駅前のカフェ。
私は宇野さんを呼んで、自分の気持ちを素直に話した。
「本当にごめんなさい。」
宇野さんを傷付けたのは分かっている。
私みたいなのは本当に最低。
けれど、もう宇野さんにも、自分にも嘘はつけなかった。
ケンも宇野さんに少し言っちゃったみたいだし、私の口からもちゃんと謝りたかった。
「違うんですっ…」
「え?」
私は俯いた顔をあげ、宇野さんを見て目を丸くする。
宇野さんはポロポロと涙をこぼしていた。
「ズルいのは全部私です、飛鳥さんは何も悪くありませんっ…」
「宇野さん…」
宇野さんはごめんなさい、と言ってタオルで顔を覆った。
まさか、こんな展開になるとは…。
私もどうしていいかわからず、ただ黙ることしか出来なかった。
「全部分かっていたことなんです。」
「え?」
「私なんかが健吾くんの相手にならないっていうことも。飛鳥さんがなんとなく健吾くんに抱いている感情も。」
少し落ち着きを取り戻した宇野さんは、ポツリポツリと話し始めた。