タカラモノ~小さな恋物語~
「ん?それってどういう…?」
「ふふ、いずれ分かるときが来ると思います!
――あ、いけない、もうこんな時間。すみません、私この後用事があって…。」
「え、あ、ううん。来てくれてありがとう、話せてよかった。」
「私の方こそ、本当にすみませんでした。」
ちゃんと宇野さんと話せてよかった。
宇野さんが話してくれたこと、私はちょっとも嫌に思ったりはしなかった。
恋は盲目――全くその通りだと思う。
好きな人のことしか見えなくなる。
好きな人にどうやってアピールするか、どうやって仲良くなるか、どうやって心を通わせるか。
宇野さん真剣にケンのことが好きなんだね。
大事な人だった。
だからこそ一生懸命だった。
宇野さんのその純粋な気持ちは、とても素敵なものだと思った。
私と宇野さんは笑顔でさよならを言い、お店を出た。
空は雲1つない晴れ渡った空だった。