タカラモノ~小さな恋物語~
こんな気持ちは初めてだった。
こんなにもドキドキして、
こんなにもキュンキュンして、
こんなにも切なくて、
けれどとっても温かい。
「にしても、ビックリだよね。」
鈴音さんがため息をつく。
「どうしたんですか?」
「えー、健吾くん!急過ぎるよ。」
ケン……?
「そうだね、そろそろ求人かけなきゃいけないね。」
求人?
ケン、求人…どういうこと?
「健吾くんいい人材だと思うのになぁ。もったいない、ね、店長?」
「そうだね、残念。」
「えっ、あの、求人って…?ケンと何か関係があるんですか?」
私はただ驚いて、店長と鈴音さんに聞く。
「え、百瀬さん、相川くんから何も聞いてないの?」
「あ、そうなの?健吾くんのことだから飛鳥ちゃんには先に言ってると思ってた!」
え、何を…?
鈴音さんは少し悲しそうな表情をして言った。
「健吾くんね、今月いっぱいでお店辞めるんだよ。」
えっ…?