タカラモノ~小さな恋物語~



ケンが、お店を辞める…?



「なんでも、サッカー忙しいみたい。もっと本腰入れてやりたいのと、あとスポーツトレーナーの資格も取りたいから勉強するって言ってたっけ?」


「……。」



なんで、ケン…?


私、何も聞いてない。



そんな大事なこと、どうして…?



「びっくり、飛鳥ちゃん絶対知ってると思った。」


「え、あはは、私、何も…」



つまり、私なんかは知らなくてもいいってこと?


ケンにとって私ってそれくらいの存在?



なんで、そんな、どうして…




突然のことに私の頭は何もついていかない。


それどころか、心が悲鳴を上げているような気がした。




「それ、いつ言ってたんですか…?」


やっとの思いで鈴音さんに聞く。



「先週くらいだっけ?ね、店長?」


「そうだね、先週…言ってたね。」



そっか…


そんなに前から。



私、その間、ケンと何回も一緒に仕事してるのに。



そんなこと、ケンは一言も言わなかった。



「……。」



結局、私がケンに振り回されてばっかりなんだ、私の方がペース乱れっぱなし。


ケンの言うこと全部に、敏感に反応しちゃって、ドキドキしちゃって…




それでも、楽しかった。



なのにケンにとって、私はその程度の存在なの…?




< 144 / 157 >

この作品をシェア

pagetop