タカラモノ~小さな恋物語~
「ごめん、ごめん。少しいじめすぎたな。」
ケンはあやすように私の背中を優しく叩く。
「ばかばかばか…ケンのばか…」
「ふっ…俺のこと好きなくせに?」
「もー、嫌い!大っ嫌い!」
「え、俺はもう1年近くずっと、ももてぃのこと好きなのに?」
「―――えっ…」
今、なんて…?
私は顔をあげてケンを見ると、「ばーか、こっち見んな。」とケンは言って、私の頭を自分の胸へと押し当てた。
もしかして、照れてる…?
「俺が今までどんな想いでももてぃと接してきたと思ってんの?好きでもないやつとクリスマスなんか過ごさねぇよ。守るとか言わねぇよ。デートだってしねぇっての。」
「……。」
「俺がこんなに分かりやすいアピールだってしてんのに、どこかの誰かさん全く分かってねぇもん。
それより、ヘラヘラニコニコ愛想だけいろんなやつに振り撒きやがって。アホみたいにおっさん趣味だし。んで俺が目離せば、隙だらけで恐ろしいったらありゃしねぇ。」
「……。」
「挙句の果てに、人の恋を応援するとかっていう奇想天外な行動しちゃうしな。」
そ、それは…
「俺ばっかがももてぃ好きでムカつく。」
「な、ナニソレ!」
ケンはわしゃわしゃと私の髪を触る。
「だから、ちょっとした俺からの仕返し?」
ケンはギュッと力強く私を抱きしめた。