タカラモノ~小さな恋物語~



「ケン…?」


「ずっとこうしたかった。」



ドキンと鼓動が早くなる。



「ももてぃにとって、1番の男になりたかった。」


「……。」


「ももてぃが俺以外の男なんか目に入らないようにしたかった。」


「……。」



「もう我慢はしねぇ、容赦しねぇからな。」



ケン…。



「わ、私だって、ケンのこと本当に好きだもんっ。私の方こそ、ケンにペース乱されっぱなしだし、何考えてんのか分からんし。本当に苦しかったんだよ?」


「ふっ、甘いな。俺はその3倍、苦労したんだから。」



も、もうやだぁ…


よく分からないけど、また涙が…



「本当にももてぃよく泣くな。何?幸せすぎちゃった?」



やっとケンは私を離して顔を覗き込む。



「ケンこそ、照れてたくせに。」


「っるせぇ。ばーか、照れてねぇよ。」


「ていうか、店長も鈴音さんもひどい…」


「ふっ、あれ俺が頼んだわけじゃねぇからな?鈴音さんが、いい加減くっついて、ってキレたんだよな。んで、2人が一芝居打ってくれた。さすがにももてぃも気持ち伝えるだろって。」


「なんで私なの~?」


「ももてぃの反応がいいからだな。」


「ひ、ひどい…」


「最初はちょっと余計なお世話って思ったけど、こんなにもももてぃが簡単に引っかかってくれるとは。感謝だな。俺も楽しいし。」


「なっ…」



何、そのニヤニヤしたケンの顔!



でも、完全に私の負けです。




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