タカラモノ~小さな恋物語~
「ももてぃ。」
「ん?」
ケンはさっきまでの表情とは打って変わり、真剣な顔つきになる。
「俺、ももてぃの理想の年上どころか、年下だし、器も大きいデキた大人じゃねぇけど、それでも、ももてぃのこと本当に大切に思ってる。誰よりも、ももてぃのこと、好きだから。」
「ケン…」
「だから、俺と付き合って…くれませんか?」
「っ…」
私はケンに飛びつき、ケンの首に腕を絡ませた。
「うん…っ。私でよければ、お願いします。」
あったかい、ケンの腕の中。
こんな思い、やっぱり生まれて初めてだよ。
こんなにも人を愛おしいと思う。
大切だと思う。
そばにいたいと思う。
失いたくないと思う。
ずっとずっと、一緒にいたいと思う。
きっとケンだから、そう思うんだ。
私の理想の人は、年上の男の人で、ドキドキっていう甘い気持ちより、安定を求めていて、大人な感じで、包容力があって、余裕があって、守ってくれるような人。
でもそれは違う。
ケンが誰よりも私の理想の人なんだ。
ケンと居ることが、私にとって1番の幸せなんだ。
ケンに恋をして、辛い思いもした、苦しい思いもした。
でもそれ以上に、幸せで、キラキラした素敵な気持ちも持てた。